2009年01月13日

日本文化

人に何かを伝えるという行為はとても難しい。それは時に、少しの勇気を必要とするものである。しかし、そこから得られるものは大きい。


特にブログのように不特定多数の人に対して情報を発信する場合には様々な気遣いを要する。ま、自分の場合にはある程度読者が限られてくるし、それを意識して書くことも多いけど。

このブログを通じて、チリに来てから見たもの、感じたこと、思ったことなどをなるべく生の声で伝えようと努めてきたつもりだ。それが、南米という多くの日本人にとっては遠い存在である地に留学するものの使命であると思うし、自分もこのブログを書くことで何かを学ぶことができた気がする。

しかし、チリでの滞在期間も残りわずかとなった。伝え切れなかったことはたくさんあるが、その中でもぜひ一度書いておきたかったことがひとつある。


それは、チリにおける日本文化だ。


地球の裏側の国、日本。チリには日本の製品が溢れている。サンティアゴを走る自動車の半数近くは日本車だ。デパートの電気製品売り場に行けば、日本のテレビ、カメラ、ゲーム…TOYOTAやSONYを知らないチリ人はほとんどいないだろう。

確かに、チリ社会においてその存在感は大きい。だが、本当の日本の姿を知る人はあまりいない。

そんなチリで、日本文化と言えばやはり、アニメやマンガ、音楽だろう。その他の多くの海外の国でもそうかもしれないが、チリでも日本のその種のサブカルチャーは広く浸透している。というか、浸透の仕方が異常なほどだ。

チリの男子ならみんな『ドラゴンボール』(現地名:Dragon Ball)は知っているし、サッカーをやっているヤツで『キャプテン翼』(現地名:Supercampeones)を知らないヤツはおそらくいないだろう。他にも、「少年ジャンプ」系を中心として多くの日本アニメがケーブルテレビで放送されている。

インターネットの普及を背景に、J-POPを聴くチリ人も増えているようだ。若い女の子の間で人気があるのは「L’Arc〜en〜ciel」や「嵐」だ。ちなみに「嵐」人気はドラマ「花より男子」から来ているようだ。ゆえにドラマの主演、松本純のファンも多い。地球の裏側で日本のドラマを見るチリ人…インターネットってすごい。

しかしチリで一番有名かつ人気がある日本のアーティストは「雅-miyavi-」だ。…えっ、誰それ???チリ人の女の子にそういう反応をしたら、大ブーイングを食らった。知らなかったのは俺だけでしょうか…いや、そうではないと信じたい。Wikipediaによると、どうやらX-JAPANやGacktの影響を受けたヴィジュアル系の歌手らしい。世界ツアーでチリを訪れたこともあるらしく、熱狂的なファンも多いとか。しかし、地球の裏側チリでどうやってそれほどの人気を獲得したのだろうか。

若者―特に中高生―のファッションを見ていても、日本の若者に近いものを感じる。その若者文化が直接日本からの輸入なのかはわからないが、ヴィジュアル系とかゴシック系とか、あー原宿とかそのあたりにいそうだなって若者をサンティアゴではよく見かける。

なかでも驚いたのが、チリに「ポケモネスPokemones」と呼ばれる若者集団が存在することだ。とは言っても、ゲームボーイを持ち寄ってポケモンをやっている集団ではないし、アニメのポケモンとも何の関係もない。おそらく、ポケモンなんかのアニメキャラみたいな髪型をしたヤツらって意味だと思う。年齢は10代半ば〜後半ぐらいで、ストパーかけてしっかりセットして、一部を赤や緑に染めた髪型。耳や鼻のピアス。何系なのかよくわからないファッション。そして、集団でダベるのが好き。そんなティーンズだ。少し前だが、こんな記事になったことがあった。



まー胡散臭い記事だこと。彼らの実態を詳しく知っているわけではないが、読者の興味を惹こうとして誇張したり、故意に部分的に取り上げたりしているとしか思えない。まったく、どこから持ってきたんだか…あーメディアって怖い。ちなみに、明らかな間違いを指摘しておくと、

×「ポケモンズPokemons」→○「ポケモネスPokemones」
×「レゲエ音楽」→○「レゲトン(Reggaeton)」

である。


…っと、本題から少し逸れた。


はい、そうそう、そしてやっぱりチリにも生息しているこの人たち。

O T A K U !

いるんですねー、チリにも。結構。
昨年12月にこんなイベントが開かれたそうな。その名も、

「Otaku Yakuza Anime Festival」!!!

オタクとヤクザってwwwこの2つの単語、チリではかなり認知度高いです。もちろんイベントとヤクザは何の関係もなくて、普通に(笑)コスプレとかアニソンライブとか。誘われたんだけど旅行とかの都合で行けず…ちょっと残念。しかし何でも、あの「ドラゴンボールZ」の主題歌で有名な影山ヒロノブが来チリしてゲストライブやったとか。そりゃ盛り上がっただろうなー。

ちなみに以前、とある飲み会で、アニオタの女の子に朝方までずっとからまれてとても大変だったことがありました。ここでは語らないけど…チリのアニオタはもう怖いです。


日本に興味を持つきっかけとしてアニメやドラマ、音楽から入るのはいいことだし、実際そういう人が多い。そこから、日本社会や伝統文化など他のことにも興味を持って勉強したり、留学を目指したりする学生も少なくない。ただ、アニメとか音楽とかがオタな方向にちょっと暴走している気がするんだよね。それだけが日本の文化だと思われても困るんだけどなー。そこら辺が不安です。


しかし、ちゃんと日本に対する理解を持っている人もたくさんいる。いつかの飲み会で、日本がいかにすごい国かってことを俺に延々と語るちょっと年配のおじさんがいた。なかなか的を突いたことを言っていてすごく感心して、それと同時にちょっと安心した。


そして最後に、この方を紹介したい。アグスティン・レテリエールAgustín Letelierさん。日本に合計10年ほど滞在し、大学の授業を持ったり、日本のチリ大使館で働いたりした人だ。実は駒場にも数年間いたらしい。現在はカトリカ大学で日本文化の授業を担当している。俺も「Teatro Japonés(日本の演劇)」という授業に出させてもらい、講演を聴きに行ったりもしたのだが、レテリエールさんの日本観には本当に学ぶところが多い。文化的な知識はもちろんなのだが、日本人の思想や価値観に対する指摘がすごく鋭い。あっ、確かにそうだな、と思うことが何度もあった。「内」からではなかなか気付かないことも、「外」から見ると浮かび上がってくる。

ちなみにレテリエールさんは2007年に、日本チリ間の相互理解、及び日本文化の紹介に寄与したことが認められ、平成天皇から旭日中綬章という勲章を受章した。政治にしろ経済にしろ、国際社会において、互いの文化を理解することなくしては本当の友好関係なんて築けない。どういう形であれ、それに貢献できるだけの教養は身に付けたい。

IMG_0862.JPG


そんなレテリエールさんも、学生から上記のアニオタイベントに誘われて、「はい、行きます!」と即答していたw
posted by こみ at 18:20| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
結局オチはそれか!笑

Youtubeの動画とかで見ると懐かしいって思ってしまうチリ文化。帰って目頭が熱くなったよ。なんだかんだPokemonesとか批判してても、そんな風におもうんだなぁってわかった。

もうすぐ帰国だねー。ちなみに就活はあんまり進んでないぜ!笑
Posted by takuma at 2009年01月13日 23:17
いつ帰ってくるんですか??
盛大になんかやりましょう笑

ちなみに雅しってますよ!
Posted by なるせ at 2009年01月14日 01:12
>takuma
俺も絶対懐かしくなるんだろうなー。就活は限りなくゼロに近いですwてか、何で俺らが就活する時に限って不況とかなってんの!?

>なるせ
「雅」知ってるの!?やっぱ遅れてるのは俺だけなのか…今週末あたりに帰るよ。こぢんまりと迎えてくださいw
Posted by こみ at 2009年01月14日 16:51
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